「世界記憶 平和のビジョン―南京大虐殺史実展」 二回目展がハンガリー・ブダペストにて
ハンガリー現地時間の10月30日、「世界記憶 平和のビジョン――南京大虐殺史実展」は初めてドナウ河畔の歴史古城ブダペストに来た。16時、ブダペスト民族志博物館で開幕し、スペイン・マドリードの展示に続くヨーロッパにおける2番目の展示となった。ハンガリーのジェシー・ピーター元首相、ハンガリーのヘウィッシュ市のシュエツァル・サンドール市長、ウェレンツェ市のゲルハルド・アボッシュ市長、ハンガリー駐在中国大使館の孫傑文化参事官、侵華日本軍南京大虐殺犠牲同胞記念館の周峰館長、ハンガリーと中国各界の代表ら約100人が参加した。
ブダペスト民族誌博物館の外景
開幕式の現場
ハンガリー系の有名な戦地記者ロバート・キャパ氏は1938年春に中国に来て、中国の抗日戦争と民衆の戦時生活を記録し、多くの写真作品が米『ライフ』誌に発表され、国際社会の中国戦場への関心を喚起した。キャパ氏が中国に来る3カ月前に、侵華日本軍は悲惨な南京大虐殺を起こした。
ロバート・キャパ氏(1913年~1954年)は本名アンドレ・フリードマンで、ハンガリー系米国人カメラマン、20世紀の最も有名な戦地カメラマンの一人。
1938年5月10日の米『ライフ』誌の表紙。これは中国の少年兵士で、ロバート・キャパ氏が1938年3月末に中国の漢口で撮影したもの
ブダペスト民族誌博物館に今回の展覧会場を設けた展覧会は「平和」を基調とし、南京の浩劫、正義の裁判、平和の城という3つの部分から構成され、100枚以上の歴史的写真と9点の展示品が含まれている。生存者個人の運命に注目することによって、観客に歴史のミクロ断面を切り開き、そして西方メディアの報道や西方人士の日記、書簡を引用して、第三者の視点からの叙事方法で、理性的かつ客観的に歴史を述べる。また、ハンガリー人観客との感情的なつながりを強めるために、ハンガリー系戦地記者のロバート・キャパ氏が中国抗日戦争時代に撮影した写真作品や、ハンガリー人医師の瀋恩・ジョージ氏が中国抗戦を支持した歴史を多数展示した。現地の観客は展覧会を通じて南京大虐殺の歴史認識を深めるだけでなく、近年来南京の「国際平和都市」としての平和発展の実践を知り、中国からの「平和の声」を「聞く」ことができる。
ゲストが展覧を見学
ハンガリーのジェシー・ピーター元首相は挨拶の中で、「5年前に侵華日本軍南京大虐殺犠牲同胞記念館を見学したことがあります。当時、私の心の中は悲しみでいっぱいでした。なぜ侵華日本軍の野蛮な暴行がこんなに残虐で凶暴なの?それは人類文明の最低ラインを超えているのではないか?それは本当に考えられないほどです。多くの歴史学者の著作を読んでも、このような暴行は想像できず、理解できません!真実の資料でその大惨事の歴史を記録し展示しているこの展覧会は、再び戦争による悲しみを感じ、この人類史上の惨劇を覚える機会を与えてくれました。そして展覧会を通じて、若者に平和とは何かをもっと知ってもらいたいです。平和があってこそ人類の生存があるからです」と述べた。
ハンガリーの元首相マイジェシー・ピーター氏
ハンガリーのウェレンツェ市の市長ゲルハルド・アゴッシュ氏は中国に留学したことがあり、流暢な中国語を話すことができる。彼は「第二次世界大戦中に東方の戦場でこのような残酷な悲劇が起こったとは信じられないです。私は南京に行ってきたばかりで、この町が大好きです。歴史を学ぶことによって、初めて戦争が二度と起こらないように教訓を得ることができるのです。平和があってこそ、人類に未来があるのです」と語った。
ハンガリー・中国友好協会会員のマリアンナ氏は展覧会を見学した後、「非常に意義のある展覧会であります。私たちは悲しい過去を永遠に忘れてはならず、永遠に平和であってほしいです。これは私たちの子孫にとって特に大切だからです。孫たちにもこの展覧会を見てもらい、歴史の教育を受けさせたいと思います」と話した。
中東欧漢方医薬学会会長、ハンガリー岐黄漢方医薬センター責任者の陳震博士は見学後、「江蘇省生まれの者として、ブダペストで南京大虐殺史実展を見ていますが、特に複雑な気持ちになり、とても心が痛みます。この歴史は銘記されなければなりません。もっと多くのヨーロッパ人にも知られるべきだと思います。私は今回の南京大虐殺史実展のハンガリー語の説明文を印刷して、ハンガリーの従業員や友人に送り、ハロウィン休暇中に家族や子供を連れて見に来てもらい、南京大虐殺の歴史を知り、平和の大切さを感じてほしいです。」と話した。
侵華日本軍南京大虐殺遭難同胞記念館の周峰館長は、「ブダペストは‘ドナウ川の真珠’と呼ばれていますが、南京は中国の歴史上重要な古都であり、未来に向けた国際平和都市でもあります。多彩な歴史文化が両都市間の交流に広い空間を提供しています。今回私たちは‘世界記憶 平和のビジョン’をテーマとした展覧会を通じて、大虐殺中の犠牲者を偲び、暴行に抵抗した勇士を記念し、人道救援の義挙に敬意を表して、歴史を鑑として平和発展の素晴らしいビジョンを共に創ろうと呼びかけています」と示した。
2015年10月9日、南京大虐殺文書がユネスコの「世界の記憶リスト」に登録され、南京大虐殺の歴史が世界記憶となった。現在までに、侵華日本軍南京大虐殺犠牲同胞記念館は米国のロサンゼルス、ロシアのモスクワ、イタリアのフィレンツェ、フィリピンのマニラ、フランスのカーン、ベラルーシのミンスク、チェコのプラハ、デンマークのオーフス、スペインのマドリードなどの都市で展示を行っている。今回の展覧会はハンガリーの人々の南京大虐殺の歴史に対する認識をさらに深めさせ、中国人民が歴史を銘記し平和を大切にし過去を忘れず、未来を切り開く考えを伝える。